Full-mouth ultrasonic debridement versus quadrant scaling and root planing as an initial approach in the treatment of chronic periodontitis.

Wennström JL, Tomasi C, Bertelle A, Dellasega E.

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和文要訳はオリジナル文献を忠実に注訳した内容であり、オリジナルの文献との内容の相違がある際にはオリジナルの文献を優先し、本注訳は無効とします。

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目的:
下記2点の臨床使用効果を評価すること
1. 初期治療の手段として「全顎を超音波スケーラーでデブライドメント(Fm-UD)」を一回行った場合の効果
2. 初期治療としての歯肉縁下処置の後、歯周ポケットが治癒しなかった部位へ再処置を行った場合の効果

方法:
平均して35部位にプロービングポケット深さ(PPD)5mm以上の部位を持つ患者41名を喫煙癖に関して層別化し、無作為に2つの異なる処置手順でグループ別けした:
全顎の歯肉縁下を注水冷却下でピエゾ式超音波スケーラー(EMS Piezon Master 400, AチップおよびPerio Slim チップ)を用いた処置群(Fm-UD)と1/4顎ずつ手用器具を用いて行うスケーリング/ルートプレーニング群(Q-SRP)。
3ヵ月後、PPD≧5mmの残存ポケット部を抽出し、超音波スケーラーもしくは手用器具にて再処置を行った。
プラーク、PPD、相対的アタッチメントレベル(RAL)およびプロービング時の出血(BoP)をベースライン、3ヶ月、6ヶ月で評価した。
初期効果は、“ポケットクロージャー(ポケット封鎖)”(PPD≦4mm)の割合、およびBoP、PPDおよびRALの変化で評価された。

結果:
処置3ヶ月後の“ポケットクロージャー”の割合はFm-UD処置で58%、Q-SRP処置で66%であった(p>0.05)
両治療群でPPDの平均減少は1.8mm、平均RALの獲得はFm-UDで1.3mm、Q-SRPで1.2mm(p>0.05)であった。
3ヶ月後の再治療の結果、超音波スケーラーまたは手用器具の使用とは無関係に、6ヶ月後にさらに平均PPDが0.4mm減少し、RALが0.3mm獲得された。
歯周初期治療(処置の時間/ポケットクロージャー数)の効果は、Q-SRP処置よりもFm-UDの方が有意に高かった:封鎖された1ポケットあたりの時間3.3分対8.8分(p>0.01)。
 3ヵ月後の再治療の時間は超音波スケーラーが11.5分であったのに対し、手用器具は12.6分であった(p>0.05)

結論:
 Fm-UDの単独使用は、慢性的歯周炎の患者に具体的な利益をもたらす正当な初期治療方法であることが実証された。
初期治療段階の次に実施された治療不快度の主観評価では、2つの治療方法の間に差は認められなかった。視覚的アナログスケールの中央値は2.0(範囲0〜5)であった。 Fm-UD方法を受けた患者の1人(5%)は、治療後5日以上知覚過敏を感じたが、Q-SRP方法では7名(33%)であった。 研究期間中に急性の問題(例:歯周膿瘍)を発症した患者はいなかった。